要旨_01

フットプリントで測る私たちの生活と熱帯林の生物多様性

金子 信博(横浜国立大学環境情報研究院)

現代の私たちの安全で快適な生活は、たくさんのエネルギーや資源に依存しています。特に日本は世界中に工業製品を輸出する一方で、世界中から食料やさまざまな材料を輸入しています。私たちの生活が地球環境にどのような影響を与えているかをわかりやすく指標するものに、環境のフットプリントという考え方があります。有名なものは、エコロジカルフットプリントで、私たちの生活はすでに地球1個分では足りないくらい地球に負荷をかけていると言われています。このプロジェクトでは、木材の消費が、特に熱帯林を伐採することで森林に住む鳥類の絶滅確率がどれくらい高まるかを指標化しました。まず、世界中の木材貿易統計をもとに、製品から遡って森林がどれくらいの面積伐採されるのかを推定しました。これを森林収穫フットプリントと呼びます。たとえば日本が木材や家具を消費した場合、世界のどの国から来たかの貿易統計を利用し、その原産地を推定しました。次に、森林フットプリントと森林性の鳥類の分布地図を用いて伐採によるそれぞれの種の生息面積の減少を推定しました。生物は生息場所が減少し、個体数が少なくなると絶滅する可能性が高くなります。そこで、木材消費が原産地の鳥類の絶滅をどれくらい加速するかを生物多様性フットプリントとしました。その結果、アメリカ、日本、中国が木材消費を通してブラジル、インドネシアなどに大きな負荷をかけており、特にブラジルでは今後急速な絶滅が進行することがわかりました。私たちの暮らしを彩る木材消費が、遠い熱帯林の鳥類の生存に与える影響を推定することが可能になり、これをもとに、よりよい消費について考える指標を作ることができました。

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