要旨_05

重要海域はどうやって選べばよいのか?:西部太平洋を例として

白山 義久(海洋研究開発機構)

海洋生物の多様性を保全するうえで、海洋保護区を設定して、その海域を適切に管理することは、一つの有効な手段です。国連生物多様性条約は、海洋保護区を設定する手段の案を、第9回締約国会議で決定し、名古屋で開催された第10回締約国会議でその有効性を確認しました。その手順によると、まず科学的情報に基づいて、生物学または生態学的重要海域(以下重要海域)を選定し、その中から、別の要素を勘案して海洋保護区を設定することが推奨されています。

重要海域の選定に際しては、7つの基準を参照することが推奨されていますが、この基準をどのように使って重要海域を選定すればよいのかは、示されていません。そのため、S-9では、重要海域の選
定に資すると考えられる、可能な限り多様なデータを、日本沿岸を中心とした西部太平洋海域で収集し、その結果を利用して、様々な方法で重要海域を抽出することを試みました。また、抽出結果と現在設定されている海洋保護区との関係についても、解析しました。その結果、重要海域の抽出にあたっては、適切な手法を選ぶことが重要であること、また現存の海洋保護区と重要海域との間の関係には、相違の大きいことがわかりました。

われわれの収集した情報と、重要海域の抽出方法は、環境省の重要海域の抽出作業にも活用され、その結果は、生物多様性条約が推進する重要海域の登録作業でも活かされています。

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