[S9-2] 種・遺伝子チーム

種・遺伝子チームでは以下の3つを柱として、調査・研究を行っています。

【レッドデータブックとホットスポット地図】
我が国は、生物多様性条約議長国として、とくにアジア地域における生物多様性保全に具体的な貢献を行うことが期待されています。しかし、保全対策を具体化するうえで、アジア各国の中でどこが保全上とくに重要な地域なのかについて判断する科学的根拠が弱いことが大きな障害となっています。この判断を行うには、レッドデータブック(絶滅危惧種のリストと分布情報)、およびホットスポット(種多様性が高く、かつ絶滅リスクが高い地域)の地図を整備することが必要です。種・遺伝子チームの第一の目的・達成目標は、アジア地域におけるレッドデータブック、およびホットスポット地図を編集・作成することにあります。しかしながら、アジアには、種子植物だけでも約5 万種があり、これら全種について5 年間で評価を行うことは困難です。そこで、植物ではマメ科・熱帯林樹木の代表群・シダ植物に、動物ではハナバチに対象をしぼり、レッドデータブック、およびホットスポット地図を編集・作成します。

【森林プロット樹木図鑑】
熱帯林の調査研究、および森林管理においてとりわけ困難な問題が、種の同定です。アジア熱帯林には多くの森林プロットが作られていますが、樹木の同定については、誤同定や属レベルの同定すら困難な例も少なくありません。この問題を解決するために、アジアの代表的地域に設置されている森林プロットの樹種のDNA配列を決定し、相同性検索結果と分類学的文献・標本資料を比較参照することにより同定作業を進め、アジア森林プロット樹木図鑑を作成します。森林プロットの中にはすでに農地転換されている場合、皆伐や間伐により樹種構成が大きく変化している場合が認められ、これらの情報をレッドデータブック編集にも活用します。

【遺伝子多様性アセスメント】
GEO BON ワーキングループ1(遺伝子・系統多様性)と連携し、(1)ユビキタスジェノタイピング(絶滅危惧種の全個体遺伝子型決定)、(2)ゲノム情報を利用した気候変動への適応力評価、(3)遺伝子データと個体分布データの統合、という3つのアプローチによる遺伝子多様性アセスメントを実施します。遺伝子多様性アセスメントに関する国際的に標準となる手法を確立します。



カンボジアの乾燥落葉樹林[Kampong Chhnang]        インドネシアの常緑広葉樹林[Halimun National Park]